CLTパネル工法による施工方法にはどのようなものがあるのでしょうか。CLTパネルを用いる工法とともに、詳しく見ていきましょう。
CLTパネルを用いた主な工法には、「CLTパネル工法」「軸組工法+CLTパネル」「混構造」の3つがあります。
CLTパネル工法は、水平力と鉛直力の両方を負担する壁としてCLTを用いる工法です。使用するパネルの大きさと接合方法によって、開口のない無開口壁パネルを用いた小幅パネル架構、開口部を含むパネルを用いた大版パネル架構があります。
軸組工法+CLTパネルは、木造軸組工法の壁・床材としてCLTを用いる工法のこと。構造計算ルートは従来の木造軸組工法と同じになります。立面混構造は、下層をRC造や鉄骨造として上層にCLTを用います。逆に下部にCLTを用いて、上層を木造軸組工法、鉄骨造などにすることも可能です。
CLTパネル工法を活用した施工方法はさまざまなものがあります。ひとつずつ紹介していきます。
CLTパネル工法では、面材を使って壁、床の箱をつくることが基本です。壁は、構成するパネルの大きさや開口の有無で性能が変わります。
最も単純な構成は小幅パネルの無開口壁ですが、CLTパネルは剛性が高い面材であるため変形能力を接合金物で確保する必要があります。垂れ壁や腰壁を設置しなくても大丈夫ですが、設置すれば耐力の向上や変形能力を向上させることが可能です。大版パネル架構は、開口周辺が壊れないことを前提にしているため接合金物を少なくすることで施工効率の向上が期待できるでしょう。
床はCLT版のみで架け渡すことが可能ですが、床パネル同士は水平構面としての機能を確保するために金物などで接合する必要があります。
CLTパネル工法は壁式構造なので、壁は風圧力や地震力などの水平力だけではなく、重力と同じ方向に働く柱と同じ機能を持ちます。高耐力のCLTパネルによって壁の量を減らすことが可能ですが、減らしすぎると床を支えるための壁を別に配置しなくてはいけません。床や屋根の鉛直支持材の配置に注意するようにしましょう。
壁の配置は壁量計算と同じく平面的な偏心に気を付ける必要があり、さらに多層建物では上下階の壁配置にも気を付ける必要があります。特に梁を設けない場合は、床を介して上下階の壁端部の圧縮や引張力を伝達するのは難しいため、壁位置を合わせなければいけません。また、偏心時の建物全体のねじれ剛性の確保にも注意が必要です。
CLTパネルの厚板は、単独で床版にすることができます。また、壁の面材で単純に支持できる床は、支持の高さを本棚のように自由に設定することが可能です。そのため、階段状の床やスキップフロアなどで空間に変化を付けることもできるでしょう。
梁型があらわれないCLT版のブリッジや片持ち式のキャンチレバーの床や庇は、CLTの象徴的な構造形式と言えます。CLT床は、強軸方向を利用した2辺単純支持が一般的です。しかし、直交するように複数の層に板を接着して作る直交積層の特徴を生かし、直角2辺支持や出隅部2方向跳ね出しなど異方性の高い木質材料では実現しにくい架構形式にすることもできます。
CLTパネル工法は、CLTパネルを工場で事前に組み立てて搬入すれば現場での作業はユニット同士の接合のみなので施工期間の短縮が可能です。長所として、工期短縮することによる経済性向上が挙げられます。特に、集合住宅や宿泊施設、サービス付き高齢者向け住宅ではこのCLTの長所を生かすことができます。
壁パネルの箱単位の繰り返しでは、小幅パネルを用いて施工枚数を増やしても平面の自由度を拡大するか、大版パネルを用いて施工枚数を減らす代わりに開口の自由度で空間を表現するかを選択することが可能です。ボルト接合など金物による機械式接合を用いれば解体も容易となり、仮設建築などで繰り返し使用することもできるでしょう。単に箱を均質に並べるだけでなく、平面的に角度を持たせたり上下でずらしながら組み重ねることも可能です。
CLTパネル工法による建物は壁が多く、閉鎖的な空間になりがちです。多数の人が集まる大規模建築では大空間が必要となりますが、倉庫や水廻り、階段など比較的壁を配置しやすい空間を平面的に集約して構造コアとして配置し、そのコアとコアを結ぶ形で大空間をつくることができます。コア部分に比較的開口が少なくてもよい部分を集めて耐震要素とすれば、その他の部分を開放的につくることが可能なのです。
また、このコアは耐震要素としてだけでなく、周辺の建物の火災の影響を受けづらくする防耐火対策としても有益です。平面計画では空間構成だけでなく、構造計画や防耐火計画と合わせて検討することで、CLTの特徴を生かした建築を実現することができるでしょう。
参照元:日本CLT協会「CLT建築物の設計ガイドブック」[PDF](https://clta.jp/wp-content/themes/clt/pdf/about/nyukai/pdf_guidebook.pdf)
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※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
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