アパートやオフィスなどの中大規模木造建築において、遮音性は必要です。外部からの音に対する騒音対策にもなりますし、室内の音漏れ対策にもなります。木造建築における防音対策には、壁や天井に対しての対策があります。
CLTパネル単体そのものは、それほど遮音性は高くありません。木材自体や鉄筋コンクリートに比べ遮音性が低いうえ、目地隙間から漏音するからです。ただし、せっこうボードによるふかし壁を施工するなどで対策することができます。
さらに、CLTパネルとせっこうボード壁の間に吸音材を挿入すると、遮音効果を大幅に高くすることが可能です。CLTパネルとせっこうボードの取り合い部に隙間があると遮音性能が発揮できないため気を付けましょう。
では、CLTパネルの遮音性を上げる方法について詳しく紹介していきます。
CLTパネルの遮音効果を高めるための対策として、せっこうボードによるふかし壁を付加する方法があります。せっこうボードは、せっこうをしん材として両面をせっこうボード用原紙で被覆成型した建築用内装材料のことで、遮音性に優れている建材です。
ふかし壁とは、内壁の厚みを通常より厚くして仕上げ面のラインを前に出すことを言います。せっこうボードによるふかし壁は、片面でも効果がありますが両面の方が効果が高いです。
CLTパネル二重構造の壁にすることで、遮音効果が期待できます。CLTパネル二重壁と遮音性能測定の実験では、厚さ150mmのCLTパネル壁の片面に厚さ90mmのCLTパネルを施工し、両面CLT現しのCLTパネル二重壁をすることで壁の空気音遮断性能が高くなるという結果になりました。
建築における「現し」とは、通常なら壁紙の仕上げ材によって隠されている構造体を露出させる仕上げのことです。
従来の木造とは異なり、CLTパネルは構造が硬いため床衝撃音が大きくなりやすい傾向があります。では、CLTパネル床版の遮音対策として有効なことには何があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
床版への遮音対策として、床仕上げ材を活用することが挙げられます。CLTパネルを準耐火床上被覆仕様にしたり耐火床上被覆をしたCLTの上面に薄い床仕上げ材を付加したりした場合、軽量床衝撃音が大幅に小さくなります。しかしこれらの仕様では、重量床衝撃音についてはほとんど変化がありませんでした。
軽量と重量床衝撃音の両方への効果が期待できるのは、乾式二重床や乾式置床の付加といった厚い床仕上げ材の場合です。乾式二重床とは、鉄筋コンクリートの床スラブの上に防振ゴムの付いた支持脚を固定し、支持脚の上に床の下地となるパネルを取り付けてから木材などで作られた化粧板を張り付けること。乾式置床とは、コンクリートのスラブの上に工場生産されたユニットフロアのパネルを敷き並べて水平な下地をつくり、その上に仕上を行う工法のことです。
床衝撃音への対策として、下室側に二重天井を付加する方法があります。薄い弾性チャンネル天井と厚い独立根太天井、床版の厚さ210mmCLTパネルの下にさらに空気層を設けて厚さ90mmのCLTパネルを付加した二重天井を比べてみました。
薄い弾性チャンネル天井と厚い独立根太天井の場合、軽量床衝撃音について効果がありましたが、重量床衝撃音にはあまり低減効果がありませんでした。CLTパネル二重天井の場合、両方で効果がありました。つまり、CLTパネル二重天井を施工することで、軽量床衝撃音・重量床衝撃音の両方を低減させる効果が期待できます。また、天井懐の通気部なしの場合より天井懐の通気部ありの場合の方が性能が向上するようです。
階床版と下階壁との間の接合部に、厚さ12.5mmのPUR発泡体を緩衝材として挿入した場合、遮音効果が発揮されました。ただし、挿入するPUR緩衝材の種類と挿入する位置によって重量床衝撃音遮断性能が異なるので注意が必要です。
また、実際の建築物で使用するためには防耐火上の課題解決や構造耐力計算の検討が必要です。それ以外にもコスト面の問題や施工実績・経年変化などに考慮が必要となることは頭に入れておきましょう。
参照元:日本CLT協会「2章 遮音性能」[PDF](https://clta.jp/wp-content/uploads/2016/05/ri_H26h-zyuukankyou-02-1.pdf)
参照元:林野庁「CLT建築物の遮音設計マニュアル」[PDF](https://www.psats.or.jp/PDFfiles/H28CLT-syaon-sekkei-manual.pdf)
上記の7つの会社のうちクロスマーク金物の8割以上の品目を取り扱い、自社工場で対応している会社である、3社をピックアップしました。各社の公式WEBサイトにあるクロスマーク金物に関する取り組み情報を参考に選定しています。
建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。
現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い
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自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的
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規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発
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※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
中大規模木造建築の
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