ここでは、大スパン(中大規模木造建築)について、特徴、メリット、使われる資材など含めてご紹介しています。
大スパンのスパンとは、幅や間隔という意味です。建築の梁は一定の間隔があります。スパンはその物体と物体の距離を示す言葉です。大スパン構造は、柱心と柱心の間が数メートルや数十メートル以上の距離があります。たとえば、倉庫や体育館は大空間ですが、内部の途中に柱はありません。
多くの場合、鉄骨の建物ですが、木造でもできます。ただし、従来はむずかしいといわれてきました。木造の場合、10m以上になるとたわみと応力の問題が発生するだけでなく、特殊な納まりが求められます。ただその問題も、大断面集成材や対応できる金具が開発されました。木造建築の法規制改正も後押しになったのです。結果、中規模以上の建築物でも大スパンが採用されはじめています。
内部に柱がないため、広々とした空間を実現できます。視界や動線の邪魔になるようなものがないため見通しがいいです。設備や備品の配置スペースの自由度も高いですし、比較的大きなものを設置したい、頻繁に人の動きがある建物などに適しています。
大スパン構造を建てるには、どんな資材でもOKというわけにいきません。資材は大断面集成材や、CLTが適しています。大断面集成材は再生産可能という特徴以外に、無垢材より約1.4倍もの強度という点がメリットです。さらに防火性や断熱保湿性や高い吸音効果という点もメリットでしょう。
CLTも大スパン構造に適した資材です。「Cross Laminated Timber」のことで、並べたラミナの繊維方向を直行するように張り合わせた木質系材料です。JASでは直行集成板として知られています。海外での建築物に採用されていますが、日本でも徐々に認知度が高まっているのです。日本CLT協会で公表されていますが、コンビニエンスストアでの建築事例があります。単純にCLTを使用しているだけではなく、スパンが約10mの無住空間を確保している大スパン構造の建物を実現しています。
中規模木造の架構形式はいくつかあります。単純梁、トラス、張弦梁、方杖などです。
単純梁は基本の架け方です。構造力学の観点から見た場合、大スパンも実現できます。実際、大空間を構築する際には多く採用されていますが、単一部材での製造限界と10m程度でも運搬で限界が出てくる点が問題です。コストや材積量の問題をクリアしなければなりません。
木造トラスは材積量が少なく現地組立のため、運搬の問題をクリアできます。ただし、木造トラスは接合部での耐力的な問題があり、変形増大につながるのが弱点です。そのため構造計画で慎重さと熟慮が必要で、手間もかかります。
張弦梁はトラスと比べると、軽快なデザイン性が特徴です。引張材を鋼材ロッドへの置き換えにより張力を導入すればたわみも調整できます。ただ、トラスと比較した場合、剛性の弱さがあるため振動に配慮しなければなりません。小屋梁での利用が適しています。
方杖は単純梁の抑制を目的とした補剛材です。バランスよく配置することで、受ける側の柱の曲げ発生対策ができます。ただ、柱の途中に設けると柱に曲げモーメントが起きる点には要注意です。とくに細い柱部材への設置には熟慮が求められます。
大断面集成材やCLTと比較すると、トラス構造は手配しやすい流通材を使えるだけでなくコストを抑えられる点が大きなメリットです。他にも、細い部材での構造設計ができますし、現しによる意匠性も表現できます。
また、トラス架構を利用すれば、断面はきれいな状態のまま維持でき、配管を通せる点もメリットです。安定している構造ですから、大スパンが必要な建物に適しています。
デメリットは接合部が複雑になるため、高い技術性と時間という点が手間となり跳ね返ってくる点が問題です。他にも高い階高の確保や、トラス構造のプレカット工場が少ないため探さなければならない点も挙げられます。
トラス工法と大断面工法、どちらがいいか比較検討する場合には、大断面に対応できるプレカット工場が参画しているかどうかが鍵を握ります。施主にトラス工法と大断面工法、どちらがいいかはコストや対応できる技術を保有しているか慎重な判断が必要です。メリットだけではなくデメリットも併せて施主に伝えることが重要です。
接合部をビスとボルトで構成している引張接合システムで、複雑な加工も不要です。角度関係なく一定の接合部耐力と剛性があり360度自由な接合ができます。
たわみにも強い組立梁が構成でき、長さ6m以下の材木構成による手軽な大スパン設計、現地組立が可能です。ビスで取り付けられるために作業効率の向上が期待できます。
施主の特殊な依頼によっては標準の金物では応えられないケースもあります。その場合は、制作金物を提供できる会社に相談するのも有効です。大量だけではなく1本から対応できる会社もあります。切断や抜き、溶接やメッキなどまで一貫対応できる会社もあります。
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建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。
現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い
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自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的
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規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発
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※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
中大規模木造建築の
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