建築用の接合金物には規格品と特注品があります。公益財団法人日本住宅・木材技術センターでは接合金物規格(Zマーク表示金物、Cマーク表示金物、Mマーク表示金物及びχマーク表示金物)の認定を行っています。
例えば中大規模木造建築で用いられるCLTパネル工法用の接合金物規格はXマーク表示金物として承認され、それを受けたメーカー・工場で製造されます。しかしそうした規格品だけではすべてをカバーすることはできません。
設計通りの木造建築を実現するためには、さまざまな形状・大きさの金物が必要になり、その場合は特注になります。特注品の製作金物であれば形・デザインに制限はなく目的に合ったものが完成します。
その一方で製品として完成するまで時間がかかり、価格も高くなることが一般的。またどのメーカーに依頼してもできるわけではなく、開発力・提案力がないと対応が難しいものも多いです。
全国には数多くの製作金物メーカーがありますが、優れた提案力・開発サポート力で柔軟かつスピード対応を行い、実績を上げているのが、これからご紹介するタカヤマ金属工業株式会社です。
タカヤマ金属工業は自社工場での一貫製造体制を組んでおり、設計から開発、販売までワンストップ対応が可能です。また全国に特注・OEM商品・開発サポーターが駆けつけ、現場のニーズの徹底ヒアリングを行います。
設計者、施工者、エンドユーザー全てが満足するために適した解決方法を提案。また特注品であっても1本からオーダー可能で、自社一貫生産なので短納期で高品質な製品を提供することができます。
現場重視の提案を行うため、工期短縮(作業省力化)、コスト削減、品質向上など目的別に特注品を開発・納品することが可能です。ここでは受注から納品までの流れや効果がわかるタカヤマ金属工業の主な事例をご紹介します。
1955年創業の住宅建材メーカー。非住宅・中規模木造建築の流れに合わせCLTパネル工法用のクロスマーク表示金物の認証を取得。また幅広いニーズに対応できる企画開発力が強みで特注オーダー金物の提供にも積極的です。
タカヤマ金属工業は電設会社から緊急のOEM依頼を受けました。内容は公共道路の設備管材の支持金物で外から見えるものなので外観にもこだわり現物で判断。しかも試作品を2日で納品してほしいという厳しいスケジュールでした。
すぐに生産準備に入り各部署と連携しながら数度サンプル品を提示。特注で寸法指定がありましたが、確認しながら生産を進めることができ最終的には図面通りの精度で納品完了し電設会社の納期短縮にもつなげることができました。
これを可能にしたのはタカヤマ金属工業の一貫した生産体制です。設計から金型製作、プレス、表面処理、組立、納品までの流れを自社内で完結できるのは大きな強み。図面通りに製作するだけでなく顧客の事情を考えられる柔軟性も重要です。
基礎用パッキンは通気パッキンとも呼ばれ基礎コンクリートの結露を防止することができます。それを改良したロングパッキンは基礎の上全面に並べるため防鼠材としての役割もありカットも自由にできて大変便利です。
その反面、通常は大工が建物に合わせてのこぎりで切断する必要があるため、その分の作業時間をそこに割かなければなりません。タカヤマ金属工業はこうした非効率を解消するための基礎パッキン(キャットスペーサー)を用意しています。
ロングタイプのものは 本体にスリットが入っており、のこぎりを使わなくてもきれいに切断・分割ができるようになっています。アンカーボルトの干渉を回避するスライド機能もついているため作業時間が大幅に短縮できます。
フリーロングキャットスペーサー使い方ガイド【施工方法案内編】
タカヤマ金属工業は現場の職人のニーズを的確に捉えることで工期短縮が可能な部材の開発を行っています。下記はその中の防鼠材の事例です。防鼠材は建築基準法により使用が規定されており、建物の外周面に使用することが必要です。
これが施工現場の手間となっており、同じ箇所に取り付ける水切作業も合わせるとかなりの時間を取られてしまう状況です。しかも両方の部材の取り付け方法はメーカーによってバラバラでそれが作業を遅らせる原因にもなっていました。
そこでタカヤマ金属工業が開発したのが防鼠機能付き水切りです。両方の機能を備えているため二度手間がなく大幅に施工時間を短くすることが可能。結果的に全体の工期を短縮することにも役立っています。
太陽光発電設備の施工会社から依頼を受けた架台支持金物開発の事例です。従来からある架台支持金物だと強度上の問題でアンカー工事が必要となり設置できなかったり、地上設置の場合は工期も長くコストがかかるのを課題としていました。
施工会社の要望はアンカーや舗装されていれば基礎工事なしで設置できる新しい太陽光架台支持金物の開発でした。タカヤマ金属工業では現場に何度も足を運び状況を確認しながら特許調査や強度試験を施工会社と協力し進めました。
完成したOEM製品を使用すると、これまでの施工時間は1/10に短縮できるようになり作業コストを削減。また設置場所状況から施工を諦めていたところも太陽光パネルが設置可能になり、施工性アップも実現できました。
配水管を支えるレベルバンドは4つのナットで1つ1つをねじ止めして排水管の高さ調整するため、作業効率が悪くしっかり行うほど時間がかかるのが問題でした。ハウスメーカーからも改善要求があり検討を開始しました。
タカヤマ金属工業では高さを調整したらワンタッチで固定できるワンタッチレベルバンドを製作。またロック金具を開発し脱落も防止できるように工夫しました。そのため現場での作業時間を大幅に短縮でき施工コストの削減にも貢献しました。
このようなレベルバンドや樋受金具、内吊金具といったものは一つ一つはシンプルな構造でも、数が多くなると施工時間を増やしてしまうことになります。コストの削減は小さな部材のちょっとした改良で実現できるよい事例です。
接合金物は木造建築に導入することで強度を上げることができるメリットがありますが、木材の現しをする場合、在来工法や一般的な金物工法では金物やスリットが露出して見た目の美しさを損ねてしまうなどデザイン性に欠けることがあります。
タカヤマ金属工業では依頼された金物を製造するだけでなく常に相手の立場や状況に配慮し提案しています。このように木材の美しさを大切にする場合、ボルトやナットを使用せず木材に埋め込むAPS工法を奨めています。
APS工法にすることによりデザイン性が高く外観へのこだわりへも満足してもらえるようになり特に現し工法の場合は高評価を得ています。またAPS工法は断面欠損が少ないので強度がさらにアップし、防火性や気密性にも優れるので施工品質が高くなります。
吊木とは天井の骨組みの垂れ下がりや振動を防止するために天井から吊って支える細長い部材です。木製と鋼製の2種類があります。施主によっては上階の物音が伝わらないことを施工業者に要望することがあります。
タカヤマ防震吊木【施工編】
しかし吊木の消音効果については機能が不明瞭で適切な選択ができないこともあります。その点タカヤマ金属工業では鋼製吊木の方が消音効果が高いことをデータとして把握しており、間違った選択をしないようアドバイスが可能です。
また溶融亜鉛めっき仕上げの鋼製吊木にすると、消音効果だけでなく耐久性にも優れていることがわかっています。吊木は細長くあまり目立たない部材ですが、選び方一つで施工品質や顧客満足度にも大きく影響するという事例の一つです。
ラジアル用吊金具【製品紹介・施工編】
タカヤマ金属工業のラジアル用吊金具はボルト装着なので脱落する心配がありません。またラジアルにビスを打ち込むだけの簡単作業なので施工時間の短縮につながります。
上記、事例の他にもタカヤマ金属工業は、金物で日々様々な課題を解決しています。
その強みは現場の生産性まで考えた製品開発力と、金型づくりから納品までワンストップの生産体制です。
タカヤマ金属工業なら、開発したい建築関連金物について単にオーダー通りのものを作るだけでなく、工期短縮、コスト削減、品質向上、現場の生産性向上という付加価値のある金物供給を実現してくれるはずです。
中大規模木造建築の
接合金物メーカーを調査
ピックアップ3社
大型木造建築で注目される木材、CLT(直交集成板)に使用されるクロス(X)マーク金物。
それらを製作する接合金物メーカーについて調査。さらにその中から3社をピックアップし紹介しています。