CLTの製造方法や流れはどのような仕組みになっているのでしょうか?簡単ではないCLT製造方法と流れを解説します。
最初に原料となる丸太の皮を剥いで、厚さ17mmのラミナ(ひき板)に切断します。(※1)切断したラミナは桟積みをして風通しのよい状態で乾燥させる流れです。自然乾燥をすると巨大乾燥機の中で約1週間、含水率12%以下まで乾燥させます。乾燥不良材は取り除きます。
乾燥させたラミナは桟をばらしてモルダーラインにてかんながけをして厚さ14mmに加工し、長さ、幅を揃えます。手作業で板目を揃えるのは意匠性の高いCLTに仕上げるためです。
次に機械を使い、各ラミナの節の量を確認して選別します。節の少ないものはA、抜け節、大きな節が自然の残っているものはB、節が多く表面に使いにくい、3層の中層に使うものはCとグレード分けする流れです。機械とともに目視チェックもします。
ラミナを幅方向に並べたら高周波プレスで幅はぎ接着をし、単層の板に加工します。1枚のCLTに使用するラミナ数はサイズ1.2×6mの5層5プライ、ラミナ幅120mmでの計算なら130枚です。(※2)国内製造の最大CLTは3×12mで275枚のラミナを使用しています。
次に化粧仕上げをするラミナの節に穴を開けてボンドを1つずつ塗り、節の大きさに合った節駒を叩いて埋める流れです。
単層の一枚板にしたラミナは、かんながけで均一に削り、12mm層に整えます。次に単層の一枚板を重ねて角層の繊維方向が直行するように圧着して積層です。接着剤による硬化は15分程度なのでスピードと正確さが求められます。
日本においてCLTに使用する接着剤の多くは構造用集成材の製造に用いられているものが一般的です。屋内構造材に使われれてきた水性高分子-イソシアネート系接着剤や、耐水性や耐熱性があり、屋外環境でも使われるレゾルシノール樹脂接着剤があります。
CLT自体はできましたが、最後に外周成形をして形を整えます。外周のばらつき、はみだした接着剤をテノーナーを使って加工成形をするのです。誤差は厚さ0.5mm(※1)以内で直角に整えていきます。また、構造用CLTは床板、壁材とつなぎ合わせることを考えて、板の側面を本実加工で凸凹にします。
最後は人の手により検品を実施する流れです。二人一組で行い、1枚ずつ問題がないかチェックします。出荷時も傷がつかないように、ダンボールや木によって保護して梱包して出荷です。
CLTの製造寸法を解説します。CLT製造では寸法を工夫することで、コスト制御につながるからです。CLTの採用はコストカット面からも重要でしょう。
CLTは最初にマザーボードと呼ぶ大きな板を作り、必要な寸法に切断する流れです。マザーボードの歩留まりの向上や端材の減少がコスト制御につながります。マザーボードの寸法は製造工場ごとに違いますが、一般的には、幅1m×長さ4m~幅3m×長さ12mです。
設計段階から最大寸法と最小寸法のチェック、マザーボードの寸法を考えた上でのモジュール設計や階高設計が求められます。また、CLTを大きな寸法で運搬する場合、特殊車両が必要な場合も出てきますし、施工方法も考えなければならないため、設計時点で施工者やCLT製造者は話し合いが必要です。
CLTをバルコニーやひさしで使う場合、二方向への跳ね出しができます。同一面内に強軸と弱軸があり基準強度がそれぞれ定められているのです。二方向への跳ね出しでは、跳ね出し寸法以上の控えが求められます。そのため、マザーボードの幅や長さも踏まえておきましょう。
強軸方向に2メートル、弱軸方向に1m跳ね出したいとします。その場合、最低でも幅2m×長さ4mが必要です。
CLTの一般的な寸法は、厚さ3層3プライの90mm、5層5プライの150mm、5層7プライ、7層7プライの210mmです。厚みを活かせばCLT表面に文字も彫れますし、丸や四角にくり抜くことができます。
木口はラミナの積層面になりますし、各直交層で見た目が異なるのが特徴です。そのため、木口を意匠的に見せられます。CLT独自の表情を出すことができるのです。
参照元:一般社団法人日本CLT協会|CLT建築物の設計ガイドブック(https://clta.jp/wp-content/themes/clt/pdf/about/nyukai/pdf_guidebook.pdf)
※1参照元:株式会社鳥取CLT|CLTができるまで(https://tottoriclt.co.jp/flow/)
※2参照元:北海道立総合研究機構|CLTの製造における接着技術(https://www.hro.or.jp/list/forest/research/fpri/dayori/2009/2009-4.pdf)
上記の7つの会社のうちクロスマーク金物の8割以上の品目を取り扱い、自社工場で対応している会社である、3社をピックアップしました。各社の公式WEBサイトにあるクロスマーク金物に関する取り組み情報を参考に選定しています。
建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。
現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い
工場
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自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的
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規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発
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※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
中大規模木造建築の
接合金物メーカーを調査
ピックアップ3社
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