中大規模木造建築が注目されているのは政府の2050年カーボンニュートラルが理由に挙げられますが、それ以外にもSDGsやESG投資といった世界的な大きな流れも影響しています。ここではそれらを中心として今後の木造建築について考えます。
政府は2050年までに「温室効果ガスの排出をゼロにする」カーボンニュートラルを2020年10月に宣言しました。その達成ためには森林の健全化が必要で、中大規模建築の木造化を進めることも脱炭素社会の実現に向けた動きの一つです。
SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの国際的な「持続可能な開発目標」で17の目標が掲げられています。その目標の一つに「陸の豊かさも守ろう」があり、そこで示されているのが森林の持続的な管理です。
これは政府が宣言するカーボンニュートラルと重なる部分です。中大規模建築物の木造化は地球温暖化防止と持続可能な森林経営を支えることにつながります。カーボンニュートラルとSDGsの両方の目標を達成することができるのです。
SDGsの目標11として「住み続けられるまちづくりを」があります。これは都市の人口増加によるスラム街の増加や大気汚染を問題として捉えており、災害にも強く安全で暮らしやすいまちづくりを目指そうというものです。
大気汚染をなくすという意味ではカーボンニュートラルと重なりますし、林野庁が積極的な木製品や木造住宅を増やして地球温暖化の防止に貢献する「第二の森林」「都市の森林」の考え方にも通じる部分です。
建築業界に限らず、数多くの企業が世界的なトレンドとなっているSDGsに沿った理念や目標を掲げ環境問題に取り組んでいます。中大規模木造建築はそうした目標を達成するためには避けて通ることはできない流れなのです。
SDGsと並んでよく耳にするのがESG投資です。ESGとは環境(Environment)のE、社会(Social)のS、ガバナンス(Governance)のGのこと。投資家が長期的に企業を評価するのにこの3つの観点が重要になるという考え方です。
投資家の視点としては企業の収益性や経営の安定性が重視されることは言うまでもありません。しかし今後は地球温暖化や人種差別などの社会課題について企業がどう向き合っているかということも投資材料になるということです。
それらの課題を軽視する企業は今後生き残れない=マイナス評価、真剣に取り組む企業=プラス評価につながります。したがって企業のSDGsへの取り組みとESG投資は密接に関係し、建築業界での評価向上のためには中大規模木造建築が重要になるというわけです。
上記の7つの会社のうちクロスマーク金物の8割以上の品目を取り扱い、自社工場で対応している会社である、3社をピックアップしました。各社の公式WEBサイトにあるクロスマーク金物に関する取り組み情報を参考に選定しています。
建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。
現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い
工場
会社情報
自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的
工場
会社情報
規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発
工場
会社情報
※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
中大規模木造建築の
接合金物メーカーを調査
ピックアップ3社
大型木造建築で注目される木材、CLT(直交集成板)に使用されるクロス(X)マーク金物。
それらを製作する接合金物メーカーについて調査。さらにその中から3社をピックアップし紹介しています。