耐火集成材の登場により、これまでできなかった中大規模木造建築の可能性が広がっています。ここでは耐火木造や耐火集成材をメインテーマとして大手ゼネコンの新たな取組みや将来性について解説します。
中大規模木造建築を進めるにあたり気になるのが、防耐火性能です。耐火建築物は建築物の主要構造部を耐火構造とし、隣接する建築物や建築物の火災終了後も消防活動によらずとも建物が崩壊せず、自立し続けることが求められます。
2019年施行の改正建築基準法により、防耐火性能を有する大規模木造建築がしやすくなりました。木材を利用した耐火建築物が満足すべき技術的基準としてメンブレン型、燃え止まり型、木質ハイブリッド型と規定しています。
メンブレン型は木造軸組構法や枠組壁工法で構造部材をせっこうボードなどで防火被覆した工法。燃え止まり型は構造用集成材の柱や梁に防火被覆した耐火構造や部材内部に燃え止り層を設ける工法で、木質ハイブリッド型は鉄骨を集成材などの木材の厚板で被覆することで木の質感を出す工法です。
これにより。耐火性能を持たせた集成材「耐火集成材」が開発されるようになりました。公的な性能評価試験を実施、耐火性能を持つ構造部材として国土交通大臣の認定を受けることで中大規模木造建築の可能性が広がったのです。
大手ゼネコンは中大規模木造建築を進めるために各所でプロジェクトを実行していますが、それぞれが開発した耐火集成材が使用されています。今後、中大規模木造建築を考える上ではどういった耐火集成材が採用されているかも注目ポイントの一つです。
集成材の荷重支持部をモルタルや石膏などの燃え止まり層で覆う構造になっており、一番外側は燃え代層として火災時には炭化し遮熱性を高めます。国産のカラマツ・スギ・ヒノキを使用し1~2時間の耐火仕様で国土交通大臣の認定を取得しています。
国産スギ材のみを利用した純木質耐火構造部材です。荷重支持部の周囲に難燃薬剤を注入した燃え止まり層を作って覆う構造になっており、火災時も内部まで燃焼が進まないような仕組み。1時間耐火の大臣認定を取得しています。
すべてスギ材の純木質耐火集成材です。無処理の荷重支持部を、難燃処理を施した燃え止まり層で覆い、一番外側を薄い化粧材で現しにしています。1時間耐火構造の大臣認定を取得し、2時間耐火構造の大臣認定も現在準備中です。
上記の7つの会社のうちクロスマーク金物の8割以上の品目を取り扱い、自社工場で対応している会社である、3社をピックアップしました。各社の公式WEBサイトにあるクロスマーク金物に関する取り組み情報を参考に選定しています。
建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。
現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い
工場
会社情報
自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的
工場
会社情報
規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発
工場
会社情報
※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
中大規模木造建築の
接合金物メーカーを調査
ピックアップ3社
大型木造建築で注目される木材、CLT(直交集成板)に使用されるクロス(X)マーク金物。
それらを製作する接合金物メーカーについて調査。さらにその中から3社をピックアップし紹介しています。