現在、建築業界のグローバルトレンドとして中大規模木造建築に注目が集まっています。それは建築技術の向上以外に業界を取り巻く環境に変化があるからです。ここではそのような現状と将来に向けた可能性について解説します。
現在、日本では中大規模木造建築の市場が拡大傾向にあります。木造化は建築工事費が高くなるにも関わらず、市場規模が大きくなる理由は脱炭素社会に向け国と民間が一体化する動きがあるからです。中でも政府のカーボンニュートラル宣言が後押ししています。
なぜ今、中大規模木造建築が注目されている?2050年カーボンニュートラルについて、もっと詳しく見る
樹木は成長時に大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を発生します。さらに伐採され木材になっても蓄えられた炭素は固定したままになり貯蔵庫として機能します。木製品や木造住宅が増えることで森林と同じ効果を得られるため「第二の森林」と呼ばれているのです。
木材を利用する木造建築は「第二の森林」について、もっと詳しく見る
SDGsやESG投資といった世界的な流れも中大規模木造建築に関心が集まる理由です。SDGsは17の目標の中に「陸の豊かさも守ろう」がありカーボンニュートラルとも重なります。またESG投資により投資家の視点と企業の取り組みも変化してきています。
SDGs、ESG投資などへの取り組みはグローバルトレンドについて、もっと詳しく見る
コストが高いのが中大規模木造建築のデメリットですが、政府や自治体などでは負担軽減と高層建築木造化の普及のために補助金や助成金制度を設けています。条件や対象、補助率などはそれぞれ異なりますがどれも中大規模木造建築の経費の一部補助が主な内容です。
中大規模木造建築の補助金制度(CLT補助金)について、もっと詳しく見る
木材は燃える素材なので耐震性や耐火性に弱いイメージがありますがそんなことはありません。地震に対する強さのポイントは構造設計なので木造だから弱いということはなく、表面が燃えても強度が急に落ちることはなく燃え尽きるまで逃げる時間が確保できます。
中大規模木造建築(CLT等)は火災や地震に弱くないのか?について、もっと詳しく見る
経済産業省は大阪・関西万博で日本館を出展。SDGs+beyondが体現できるパビリオンを基本構想としており、脱炭素や循環型社会の流れとしてCLT活用が注目されています。またCLTパネル工法が大規模木造建築に対応する点でもパビリオンに適しています。
大阪・関西万博日本館でCLTを活用、現在の取り組みについて、もっと詳しく見る
グローバルトレンドとして中大規模木造建築の流れがありますが日本では木造建築に対する理解度が低いのも事実。ただSDGsやESG投資の影響でイメージ向上ため木造建築を検討する企業も増えています。今後の課題はいかに導入コストを下げられるかです。
中大規模木造建築の課題と今後の展望(CLT活用等)について、もっと詳しく見る
発注者目線から大規模木造建築を建てるメリットを考えた場合、コストの安さや耐震性、省エネ性能があげられます。また、事業用の建築物を木造化することで、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいる企業としてアピールできるというメリットもあり。実際に経営戦略として自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えているほか、環境に配慮する企業へ投資しようという動きが世界中で広がっており、木造の中高層建築物市場が拡大傾向にあります。
改正建築基準法が2019年6月25日から全面施行となり、中大規模建築物にも法改正による影響が及んでいます。改正内容に「木造利用の推進に向けた規制の合理化」が含まれていることから、今回の改正によって国が中大規模建築物の木造化の促進を図っているのは明らかです。これまでの建築基準法では設計上の大きな制約となっていた防火規定や耐火性能基準、防火壁の設置範囲などが合理化され、中大規模建築物を木造化しやすい環境が整いつつあります。
法改正による中大規模建築物への影響について、もっと詳しく見る
木造ZEBとはビル・工場・病院などにおいて、年間の一次エネルギーの収支ゼロを目指した建物ことです。経済産業省ではZEBを規模などによって4種類に区分しています。木造を活用することで、木材ならではの温もりや香りが感じられ、省エネ性・耐久性も高められるでしょう。
中大規模木造建築は人件費・工期・価格上昇リスクなどの面において、大きなメリットがあります。減価償却による税制上のメリットがあるものの、中大規模建築であれば維持管理の費用負担も大きいため、建築計画の段階からメンテナンスなどがしやすいよう配慮しなければなりません
上記の7つの会社のうちクロスマーク金物の8割以上の品目を取り扱い、自社工場で対応している会社である、3社をピックアップしました。各社の公式WEBサイトにあるクロスマーク金物に関する取り組み情報を参考に選定しています。
建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。
現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い
工場
会社情報
自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的
工場
会社情報
規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発
工場
会社情報
※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/
中大規模木造建築の
接合金物メーカーを調査
ピックアップ3社
大型木造建築で注目される木材、CLT(直交集成板)に使用されるクロス(X)マーク金物。
それらを製作する接合金物メーカーについて調査。さらにその中から3社をピックアップし紹介しています。