CLT用クロス(X)マーク金物をはじめとした中大規模木造建築金物メーカーが見つかるnavi » クロスマーク(Xマーク)表示金物 とは?

クロスマーク表示金物(Xマーク表示金物)について

CLTパネル工法用の接合金物規格にクロスマーク表示金物(Xマーク表示金物)があります。ここではそれを定めている組織や規格の意味、認定取得している金物メーカーや工場、中大規模木造建築との関連性などについてご紹介します。

クロスマーク表示金物(Xマーク表示金物)とは

クロスマーク表示金物は公益財団法人日本住宅・木材技術センター(以下、住木センター)が定める接合金物規格の一つで、CLTパネル工法用金物としてして制定。同センターで承認・認定も行っています。

こうした接合金物規格にはXマーク表示金物以外にも、Zマーク表示金物、Cマーク表示金物、Mマーク表示金物などがあります。こうした認定制度は木造住宅の耐震性能を確保し消費者の安心・安全の実現を目的としています。

その中でXマーク表示金物は平成28年国土交通省告示第611号「CLTパネル工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術基準を定める件」に適合した接合金物で、中立的な立場で製品・生産体制・供給体制の品質が評価されます。

住木センターの認定した規格金物は国の統一基準や仕様書等に適合し、信頼性の高い接合金物としてお墨付きをもらうかたちとなっており、建築業者としても安心して使用ができるというわけです。

木造建築物用接合金物承認・認定の流れ

認定申請は金物製造業者(メーカー)だけでなく、金物流通業者や金物を自社で使用する住宅メーカーも対象になります。事前相談をして申請受付後は1ヶ月の事務手続き、工場審査があれば最短3ヶ月、工場審査なしでも2ヶ月かかります。

なお、工場審査では以下の内容が確認されます。

接合金物の主要部分の生産を行う工場及び性能上重要な部分の加工を行う工場が審査対象で、複数工場がある場合はそれぞれ審査があります。そのため1つの工場のみをXマーク表示金物専門としているメーカーもあります。

クロスマーク(Xマーク)表示金物承認取得金物メーカー

クロスマーク表示金物の承認を取得した接合金物メーカーは、住木センターの公式サイト(木造建築物用接合金物承認・認定金物一覧)から確認することができます。2022年1月時点では下記の7社となっています。

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引張金物 せん断金物 L形金物 帯金物 両ねじボルトセット 丸座金 角座金 四角穴付きタッピンねじ ドリフトピン
承認番号 承認取得者 製造工場 TB-90 TB-90P TB-150 TB-150P TB-DP TC-90 TC-150 TC-DP SB-90 SB-150 SBM-90 SBM-90P SBM-150 SBM-150P SP SP-DP D32 LST STF STF-DP STW-790 STW-850 M20(RSP2.3×45×82) M20(RSP2.3×45×147) RW6.0×40 W12(140×140) W16(90×220) W19(80×120) W19(80×150) STS・C65 ※1 STS・HC90 ※1 STS6.5・F ※1 DP16
1-1 ヤブモト工業(株) 東光機材㈱
2-1 山菱工業(株) 山菱工業㈱ 安富工場
3-1 (株)タナカ ㈱倉川製作所
4-2 タカヤマ金属工業(株) ㈱酒井製鋲所八尾工場
4-3 ㈲新生スチール第二工場
4-4 タカヤマ金属工業㈱美原工場
5-1 コンドーテック(株) コンドーテック㈱滋賀工場
7-1 (株)タツミ ㈱タツミ 見附工場
8-1 (株)徳永 ㈱徳永
※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和5年1月1日現在)https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/

クロスマーク(Xマーク)表示金物には引張金物、せん断金物、L形金物、帯金物、両ねじボルトセット、丸座金、四角穴付きタッピンねじ、ドリフトピンなど種類がありますが、メーカーによって対応する金物は異なります。

規格品なので完成品はどこに依頼しても同じものになりますが、メーカーや工場によってはすべての種類ではなく、一部のみ製造が可能という場合がありますので事前に用途などを伝え、対応できるかどうか確認しておくと安心です。

CLTパネル工法の構造設計とクロスマーク表示金物

χ(クロスマーク)表示金物は、ルート1の構造設計向きでルート3ではあまり使われないと言われます。これはどのようなことを意味するのでしょうか。これを理解するためにはまずルートについて知っておく必要があります。

構造計算ルートについて

ルートというのは建築設計をする際に、対象となる建物に必要な構造計算ルートのことを指し、ルート1~ルート3までの3種類に分かれています。例えば木造平屋住宅と国立競技場では規模が全く違うため構造計算の方法も変わるということです。

建物の規模が大きくなったり複雑な形状になればなるほどルートは1、2、3と上がっていきます。ルート1に該当する建築物は木造や鉄骨造・RC造でも住宅など比較的規模の小さな建物の構造計算に適しています。

ルート1に適する建物

ルート1は強度型で建物を変形を少なくし耐震性を上げる簡易的な設計で、木造のCLTパネル工法では3階建て以下(軒高9m以下、高さ13m以下)の矩形の建物に適しているとされています。

同じルート1でもRC造の場合は建物高さ20m以下で規定量の耐震壁があることとされています。採用する設計ルートにより必要となる耐震壁の規定量が異なるため、審査にかかる時間や予算、何を重視するかによって採用ルートを選ぶことが必要です。

クロスマーク表示金物で対応できないケース

Xマーク(クロスマーク)表示金物はCLTパネル工法用金物規格なので、基本的にはルート1で利用します。木造軸組工法用のZマーク表示金物よりも強度が高く、3階建て以下の木造建物には十分な機能があると言えます。

裏を返すと3階建てよりも高く複雑形状の中大規模木造建築では対応できないケースもあるということです。Xマーク表示金物はCLTパネル表面に鋼板添え板+ビス打ち仕様となっており、パネルの室内外現し仕様や燃えしろ設計には非対応です。

参照元:愛媛県CLT普及協議会「CLT建築物の設計ガイドブック」[PDF](https://clta.jp/wp-content/themes/clt/pdf/about/nyukai/pdf_guidebook.pdf

中大規模建築には製作金物が使える

CLTパネル工法による中大規模建築を進める際に、クロスマーク表示金物で対応できない場合も諦める必要はありません。CLTに限らず既存の接合金物だけで設計するのが困難な場合は特注品を使用します。

この特注品のことを製作金物と言います。建築金物と呼ばれることもあり、文字通り建築に使用される金属部材のことです。中大規模建築ではクロスマーク表示金物だけを使用しなければならないわけでありません。

したがってメーカーに設計にあった製作金物を依頼すればよいのですが、どの金物メーカーも対応しているとは限りません。クロスマーク表示金物の認定メーカーの中でも特注の製作金物に対応する会社とそうでない会社があります。

金物メーカーを選ぶ際には、それぞれの得意・不得意分野を知っておくことが重要です。スポットで規格品をスピーディーに調達できる、建築用途や目的に応じて適した金物を提案、不足の場合は製作金物に対応など事前に特徴を調べてくことをおすすめします。

中大規模建築向け接合金物の課題と今後

内閣官房のCLT活用促進のための会議資料に課題をまとめたものがあります。業界団体や工務店、自治体などからヒアリングしたものを整理されていますが、その中で中大規模建築に関連するものを以下にピックアップします。

中大規模建木造建築はCLTパネル工法を中心に国をあげて普及が進められていますが、日本ではまだ新しい分野ということもあり部材の調達や構造設計を行う際の環境がまだ整備しきれていない部分があります。

接合金物に関しても製作金物の割合が高くなれば時間もコストもかかるようになるため、今後はさらに規格金物を拡大し、また認定メーカーを増やすための補助金や助成制度も必要になるでしょう。

参照元:内閣官房HP「CLT活用促進のための政府一元窓口」(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cltmadoguchi/index.html

Xマークやその他の承認制度

建造物の接合に用いられる金物には、公益財団法人日本住宅・木材センターをはじめとするさまざまな組織が設けた審査をクリアすることで与えられるXマークや承認制度があります。これらはいずれもその金物が一定の基準をクリアした高品質なものであることを保証するものなので、接合用の金物の品質を確認するには適切な目安となります。

Xマーク表示金物の種類

Xマーク表示金物の数は、大きく分けて13種類となっています。その多くは基礎と壁パネルの接合に用いられるものであり、材質や耐力、表面処理、耐力などが定められています。それぞれのスペックはそれぞれの金物によって異なっているので、事前に確認しておきましょう。

CLT用クロス マーク金物をはじめとした
中大規模木造建築金物メーカーを紹介

クロスマーク(Xマーク)
表示金物メーカー
ピックアップ3社

上記の7つの会社のうちクロスマーク金物の8割以上の品目を取り扱い、自社工場で対応している会社である、3社をピックアップしました。各社の公式WEBサイトにあるクロスマーク金物に関する取り組み情報を参考に選定しています。
建築金物メーカー各社は、規格品以外も製造しておりそれぞれ特色があります。そこでCLTパネル接合用のクロスマーク表示金物関連情報とそれ以外に何を得意としている会社なのかについて調査し、まとめました。

タカヤマ金属工業株式会社

タカヤマ金属工業株式会社
引用元:タカヤマ金属工業株式会社 https://www.takayama-kk.co.jp/
ワンストップの生産体制と
BIMを活用した制作金物に強み

現場視点の企画開発力で特注・OEM品にも強い

工場

  • 本社工場 大阪府大阪市
  • 美原工場 大阪府堺市
  • 富田林工場 大阪府富田林市
  • 新潟県、福岡県に製作金物加工工場あり

会社情報

  • 従業員数
    300人
  • 本社
    大阪府大阪市
  • その他営業所
    埼玉県川口市

株式会社タツミ

株式会社タツミ公式サイト
引用元:株式会社タツミ https://www.tatsumi-web.com/
接合金具工法用の
木材プレカット工場に強み

自社プレカット工場を持ち特注金物に積極的

工場

  • 見附工場 新潟県見附市
  • 北関東工場 栃木県日光市

会社情報

  • 従業員数
    280人
  • 本社
    新潟県見附市
  • その他営業所
    東京都中央区
    栃木県日光市
    大阪府大阪市

山菱工業株式会社

山菱工業株式会社
引用元:山菱工業株式会社 https://www.yamabishikogyo.co.jp/
ツーバイフォー金物の実績で
培った技術力に強み

規格品だけでなく各種オリジナル金物も開発

工場

  • 茨木工場 大阪府茨木市
  • 建材工場 大阪府大阪市
  • 安富工場 兵庫県姫路市

会社情報

  • 従業員数
    110人
  • 本社
    大阪府大阪市
  • その他営業所
    千葉県千葉市

※参照元:公益財団法人日本住宅・木材技術センター公式サイト(木造建築物用接合金物承認‧認定金物一覧χマーク表示金物一覧表 令和4年1月1日現在) https://www.howtec.or.jp/publics/index/108/

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